可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
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「きっついだろ? 向井。でも、マネージャーが彼女に変わってから、納得のいく仕事を回してもらえるようになったんだけどね」
向井さんが帰った後、宗介さんがわたしにそう話した。
「めちゃくちゃ、頭キレそうですもんね」
宗介さんは隣に座るわたしの肩を抱き寄せ、髪に軽くキスをした。
「やっぱり、いろいろ我慢させることになりそうだな」
わたしは宗介さんの肩に頭をもたせかけ、彼の骨張った大きな手を握った。
「今さら、引き返せない。もう、こんなに好きになってしまったのに」
宗介さんは横からわたしの顔をのぞき込み「えっ、何? もう一回、言ってくれる?」ととぼけたことを言う。
「だから、今さら……」
「じゃなくて、後のほう」
「えっ?」
「こんなに、以降」
以降って、台本の読み合わせじゃないんだから。
わたしはちょっと逆らいたくなって「一回きりです」と一言。