このキョーダイ、じつはワケありでして。
いろいろ考えてくれた咲良には悪いけど、私にとってのサプライズは天瀬で十分すぎる。
「天瀬は…?聞いてた?」
「え、なんのこと」
この様子だと知らなかったみたいだ。
たしかに咲良は昔から見た目や性格とは裏腹に、思い立ったら動いてしまうところがある。
そうこうしているあいだにも、インターホンは鳴り止まずリピート。
「けいとー?さっきからインターホンすっごい鳴ってない?ピンポンダッシュにしては優しすぎ」
騒ぎを聞きつけて、とうとうヘッドフォンを首にかけた兄が階段から降りてくる。
兄ちゃんの作業も邪魔しちゃったし……なんなのもう。
ぜんぶあいつが悪いんだと責任転嫁したって許されるはずだ。
「で、出なくていいよ!これピンポンダッシュ!」
「いつから冗談通じなくなったんだよおまえは。宅配かもだし、出ないわけにはいかないでしょ」
「なにも頼んでないから違うもん」
「じゃあご近所さんかも。周りへの顔立てはわりと大切だって、兄ちゃんずっと言ってただろ」