このキョーダイ、じつはワケありでして。
『だい…じょうぶだ……、お父さんとお母さんが…ぜっ、たい……守って、やるからな、……心配いらないぞ…、けいと』
運良く助かったんじゃない。
あのとき私は、落ちてくる土砂のなかでお父さんとお母さんに助けられたんだ。
泥だらけで血だらけの両親が、なにが何だか分からない狭い車内で私を抱きしめるように壁になった。
『成海と……お兄ちゃん…と、……なかよく、なかよく……ね、…けい…、と、』
そのとき私、すごく場違いなことを思ったんだ。
私とお母さんの顔、似てないなあって。
1度も考えたことすらなかったのに、どうしてあんな状況下で思ったんだろう。
「わたし、が………しぬ、べきだった……」
「キャハハッ!なにこいつ超メンヘラ!!とうとう病んじゃったんですけど!!」
慶音、けいとって、顔の似ていない母は何度も何度も私の名前を呼んで、最期の最後までいとおしげに頭を撫でつづけてくれた。