このキョーダイ、じつはワケありでして。
中学で部活を始めるときに購入してくれた胴着は最初、大きめサイズだった。
高校でも同じものが着られるようにと私がわざと選んだサイズで、兄はやられたと困ったように笑っていたっけ。
兄ちゃん、やっと身体に馴染んでサイズもぴったしになったんだよ。
もう裾を捲らなくていいし、たまに引っかけて転けることもない。
「ちょっと四宮…!あんたどこ行って───…なに、それ、」
「髪…てか胴着、なに、なんで?」
リハーサルは遅刻どころか発表ギリギリでステージ脇に向かった。
すでに集まっていた先輩たちは私の汚れた姿を目にし、ぎょっとさせてあからさまなため息。
「ねえ誰かの胴着借りれない?貸してくれるひと探してきて!」
「これで…出ます、これで出させてください」
「……ほんと最悪。こっちはあんたが来ないから、代わりを用意しようとしてたくらいなんだよ?少しはあたしらの立場のことも考えてよ」
「…はい。すみません」
余計なことは考えるな。
今はもう披露する形のことだけを。
余計なことを考えたら崩れる。