このキョーダイ、じつはワケありでして。




崩れると言えば小学校最後の組体操。

クラスメイトにわざと落とされた私は、おかげでそれ以来高所恐怖症だ。



「なんだこれ、墨…?ぜんぜん取れねーし…」


「天瀬…」



私に近づいて汚れをパッパッと払った天瀬は、自分の手にも付着した黒色を見つめて眉間を寄せた。

墨やらペンキやら、どう考えたって漂白剤で落ちる汚れじゃない。



「俺は四宮と一緒に披露する形を楽しむよ。…がんばるぞ」


「……うん」



ステージ。
さっそく立ってから、すぐに見つけた。

来ないと思っていた。

そこにはしっかりと姿があって、隣にいる女性だけがただただ怖かった。



「うわっ、なにあれ~。かわいそー」


「ネタ?ガチ?空手部ってあんな感じなのかよ」


「いじめ?ぜってえ入りたくねーよあんな部!怖すぎだろ!」



くすくす、ざわざわ。
かわいそう、可哀想、かわいそうって。

絶対やめてやるこんな学校。


髪もボロボロ、胴着だってボロボロ、心だって顔だって。


なんでもいい、もう、なんだって。



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