このキョーダイ、じつはワケありでして。




「おい志摩、あれおまえの後輩ちゃんだろ?あんなんなってるけどいいのかよ」


「……いいわけないでしょ」


「おまえのせいじゃねーの?どうせ女子からの嫌がらせだろーし」


「…そうだよ俺のせいだよ」



動きにキレが出ない。

こんなんじゃないと頭では分かっているけれど、視界がぼやけて散々だ。


こんなの………見せ物じゃん。


ここまで情けない形を見せるくらいなら先輩に譲ったほうが良かった。



「ヤーーッ!!」



全校生徒、保護者全員が注目する。
私の隣で覇気ある声を上げた天瀬に。


うるさい、だまれ、笑うな。


天瀬から聞こえてくるみたいだった。

そこからの私は、しっかり胴着の擦れる音を感じられるくらいキレのある動きに変わったと思う。



「すみません。俺のせいです、俺のせいなんです」



終わったあと、ジャージに着替えた私はとりあえず保健室。

ずっと誰かに謝罪しつづけている先輩もついてきた。


兄と麻衣子さん、先輩と天瀬。


なんとも絵に描いたような地獄のメンツだ。



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