このキョーダイ、じつはワケありでして。




「ってことで、あとは俺がやっとくから咲良ちゃんも天瀬くんも部活もどっていいよ。先生たちにも大丈夫そうですって伝えといて」



微笑みと、笑顔と、ちょっとの照れくささ。

天瀬には負けてしまったけれど心は満足感でいっぱいだと、そう思っていたときだった。



「失礼しまーす、保健室に俺のスマホ忘れちゃったっぽくて───……って、あらあら、皆さんお揃いのようで」



すっかり忘れていた悪夢、到来。


立ち上がりかけた咲良と天瀬。
その先のベッドに腰かける、私と兄。

平和たる保健室に呑気に響き渡る、まるでそれは地獄の足かせ。



「あれ?慶音、怪我したの?」


「……………」


「部活?うーわ、もしかして肩やっちゃった?」


「……………」



知らない、知らないです。
こんなひと私はご存知ないです。


他人が馴れ馴れしく話しかけてこないでください。

スマホとやらを見つけたなら即座にお帰りやがれください。


さようならお疲れさまでした2度と現れるな地獄に落ちろ。



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