婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました
「わたしはあなたの道具じゃありません!」


 腹立たしくて悔しくて、涙がポロポロと零れ落ちる。正直もう、どうなっても良かった。この人を見なくて済むなら、それで良いと思えるほどに、わたしは腹が立っていた。


「あなたの妃になるぐらいなら、犬の餌にでもなった方がマシだわ」


 わたしの叫び声に、侍女たちが集まってくる。事態が事態だけに「誰か、陛下を」って声がチラリと聞こた。


「わたしはね! あなたがスピカを妃にすると言うならそれで良かった。こんな婚約、きっぱり破棄して、殿下やスピカのことなんて綺麗さっぱり忘れて生きて行くんだって! そう、思っていたんです! それなのに、どうして! どうしてあなたは、そんなに酷いことが言えるんですかっ!」


 さすがの殿下も、怒りが顔に表れていた。眉間に深く皺を寄せ、氷のように冷たい瞳をした殿下を、わたしは負けじと睨み返す。


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