婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました
「……あぁ、終わった?」


 少し離れた場所にある、大きな木の幹に、一人の男性が寄りかかっている。


「バベル……様」


 それはわたし達のクラスメイト、バベル様だった。バベル様は不敵な笑みを浮かべつつ、わたしのことを見つめている。身体から一気に血の気が引いた。


「……御機嫌よう」

「うん。機嫌は悪くないよ」


 なんとか絞り出すことのできた淑女の挨拶に、バベル様がそんな風に応える。
 他国から留学に来ている彼のことを、わたしはあまりよく知らない。爵位なんかもうちの国とは違っているし、これまで会話を交わしたことも無いから、彼がどういう人なのか、ちっとも知らなかった。


「では、わたしはこれで――――」

「ねぇ、あんなもんで良いの?」

「へ?」


 心臓がバクバクと鳴り響く。彼がいつからここにいたのか、とか。わたしの暴言を聞いていたのか、とか。事実から目を背けようとしたわたしに、容赦ない追い打ちが掛かる。


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