やり手CEOはお堅い秘書を手放さない
お酒を飲みすぎて過ちを犯したうえに、記憶までも失うなんて人生初の失態なのだ。社長との外泊以外、なにをしでかしたのか。
手繰ろうとしても真っ白な世界には一筋の線もない。
全身から冷や汗が噴き出てくる。
「もしかして接待中に妙なことをしました? 変な踊りを踊ったとか。つまらないものを見せたとか」
ドキドキしながら問いかけると、彼はくすくすと笑う。
「酔うと変な踊りをするのか? それはないから安心しろ。接待は成功しているんだ。きみがおいしそうにお酒を飲むから、彼らは終始上機嫌だったよ。俺では、あのムードにできない。ありがとう」
彼は握り続けていた手を離して、ねぎらうように私の手の甲をぽんぽんとたたいた。
「それを聞いて、安心しました。それから、酔った私を泊めていただき、まことにありがとうございました。そして何度も衝撃を与えたこと、深くお詫びします」
深々と頭を下げると、彼は小さなため息を漏らした。