やり手CEOはお堅い秘書を手放さない


「社長、失礼いたします」

 朝のスケジュール連絡で入室した私に、社長はいつもと変わらない視線を向けてくる。穏やかだけれど、真剣に仕事に向き合う厳しい瞳。

 デスクまで歩み寄り、きりっとした口調で分刻みのスケジュールを伝えていく。

「それから、午後3時からマクレガーのレセプションパーティがあります。終了予定は午後5時。現地までは車で20分ほどですので、遅くとも2時半には社を出発いたします。パーティ後の予定はございません」

 連絡を終えると、彼は何かを思案するように顎をさすっていた。

「うん……出発は1時にしよう」

「はい? それですと、早すぎますし、その前の業務ができません」

「いいんだ。業務は後日に回すから。会場に行く前に寄るところがあるんだ。面倒をかけるが、スケジュールを組みなおしてくれ」

 簡単に言うけれど、組みなおしって大変なのに……密かにがっくりうなだれる。

「そうですか。了解しました。視察ですか?」

「ああ、まあ、そんなところだ」

 微笑みと一緒に吐かれた含みのある言葉に疑問が残る。

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