やり手CEOはお堅い秘書を手放さない


「そういえば、新藤さんのお祖母さんはコバルトユニオンの会長である上に、未だ現役バリバリでCUサービスの社長でしたな。たしかに人を見る目がおありのようだ」

 駒田の隣にいる男性が納得するような声音で言った。

 彼が会社を継ぐとき若すぎたため、内外からの軋轢を避けるためにも彼のお祖母さんを会長にするようアドバイスしたのが駒田だと聞いている。

「ええ、ただ一人の家族ですし、大変信頼しています」

 まだお相手が確定していないのか……などとざわめく人の中で「彼のお祖母さんに取り入れば、可能性があるってことね」とつぶやく女性の声がしている。

 今の、彼にも聞こえたのかな……?

 彼の表情をうかがうと、何を耳にしても対外的な微笑みを崩していない。

 自身の会社を経営し、会長業務もこなしている彼のお祖母さんに取り入るのは非常に難しいだろう。社長秘書である私も会長とはメールのやり取りのみで、これまで一度もお会いしたことがないのだ。

 会長はマクレガーとの話を進めているはずだ。

 だって私は、社長室の中で何度もその企業名を見聞きしているのだ。用向きが仕事関連だったら、秘書の私が知らないはずがない。

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