やり手CEOはお堅い秘書を手放さない
「新藤さん、よろしければ今度ふたりでお食事しませんか? あなたとの縁談もあることですし、プライベートでご一緒することを咎める者はおりません」
「大変魅力的なお誘いですが、ご遠慮します。縁談については祖母に任せていますから、なんらかの連絡があるでしょう」
なぜか彼のガードが堅い。
お互いをよく知る機会なのに、結婚が決定するまではデートをしないということだろうか。
1年ほど前までは取引先の女性たちと頻繁に食事デートをしていた彼が、ほぼ確定しているだろう相手の誘いも断るなんて……。
どういうわけか最近は警戒心が強いみたいだ。
会長から、結婚までは身持ちを固くするように言われてるのかもしれない。それならば、納得できる。
私と一夜を過ごしてしまったせいで、女性と二人きりになることに慎重になっているとも考えられるけれど……。
そうだとすると、なんだか責任を感じてしまう。
「そうですか。残念です」
彼女はあからさまにがっかりした表情をしたのち、華やかな笑顔に変えた。
「では、正式にお会いする旨のご連絡を、お待ちしていますね」
「今日は大変面白い話をお聞きしました。では、失礼します」