あなたのいない暗闇を、光輝く世界に変えて
美知さんはお葬式が終わると、すぐに私の家に来てくれた。
…妊娠検査薬を持って。

え、妊娠…私が…?

その可能性は全くと言っていいほど考えていなかった。

たぶん…気落ちし過ぎて〝希望〞が全く見えていなかったんだと思う…

美知さんに言われるがまま妊娠検査薬を試してみたら陽性反応が…出てた…

え?え?どうしたらいいの?と戸惑う私に代わり、美知さんが市内の産婦人科をいろいろと調べてくれた。

そして、早い方がいいからと、2日後には市内でも評判のいいという産婦人科のクリニックにいた。

事前に美知さんに言われてた通り、毎月の生理開始日やトモと愛し合った日などを記入してある手帳を持参して。


緊張しながら診察室へ美知さんと二人で入ると、おばちゃん先生がニコニコと穏やかに迎えてくれた。

問診というより雑談ぽく聞いたり話してくれる先生で、私も安心していろいろと話せた。

そして内診とエコー検査を受けて…

「八嶋さん、おめでとうございます、赤ちゃんがいますよ~。もう4か月に入ってるね~」

先生が明るくそう言うと、美知さんが、バッと勢いよく私を見た。

「凛花ちゃん…その子は知典の…」

「はい、間違いなくトモの子です」

あぁ…トモと私の…子ども…なんだ…

徐々に嬉しさが込み上げてくる。

トモ…私…一人じゃないよ…
この子がいる…

まだぺたんこのお腹に優しく手を当てた。



「…知典は最後の最後に大事な宝物を残してくれたんだね…」
美知さんが涙を溜めた目で呟いた。


「大事な宝物……」

あっ、そういえばあの時…
最後に言った〝俺の置き土産も大事にしろよ〞って…

その言葉は婚約指輪だけじゃなかったんだ…
赤ちゃんも、だったんだね…

トモは知ってたんだね…


「はい、大事な大事な宝物です…」


「うん…うん…みんなの宝物だね…」


トモ?見えてる?

トモと私の子どもだよ?

トモはパパになるんだよ?

すごいね!

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