シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
渚家。

「ヤダッ、ヤダッ、わたしもみぃちゃんと一緒におうちにいる」

「我儘、言わないの…理沙」

私は駄々を捏ねる理沙を必死に説得していた。

「いいじゃない、弥紗」

お姉ちゃんが生後半年の娘・三奈ちゃんを抱っこして哺乳瓶でミルクを与えながら困惑している私を窘めた。

お姉ちゃんは勇気君を亡くし、二度と結婚しない、看護師として生きると私に宣言しながらも、コロナ禍で渚先生と入籍。
昨年、三奈ちゃんを産んだ。

幸い、三奈ちゃんは遺伝病の保因者ではなかった。
お姉ちゃんはそれが何よりも嬉しかったよう。自分と同じ苦しみをこの子には味わって欲しくなかったから。


「ほら、弥紗遅刻するわよ。早く行きなさい」

「仕方がないわね…理沙、わがままは言ったらダメよ。ママと約束よ」

「うん」

理沙が自分の望みが叶った途端、素直になり、首を縦に振る。

「じゃお姉ちゃん、いってきます」

「いってらしゃい!!」

「ママ、おしごとかんばってね」

三人に見送られ、私は病院に向かった。
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