シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
「弥紗」

私達が座るテーブルに慧斗さんが近づいて来た。

「相手は見つかったのか…弥紗」

「彼は誰?」

「え、あ…」

「元夫の桑原慧斗です」

慧斗さんは挑戦的な態度で事務長に自己紹介する。

「元夫?じゃ彼が理沙ちゃんの…」

「理沙ちゃん?」

慧斗さんは神妙に理沙の名前を呟く。

「違います!違います!!彼ではありません」

「すまない…」

勘の鋭い事務長は私の慌てた様子を汲み取り、理沙の事は口にしなくなった。

「あ、俺は『清友会総合病院』の勤める御幣島累だ。彼女は俺の部下だ。桑原さん」

「『清友会』・・・あ、千紗さんと同じ病院か…」

「支社長」

「んっ?あ・・・伊澤か…ちょっと…」

慧斗さんは部下らしき人に呼ばれ、テーブルを離れてしまった。

「神崎君は元夫に内緒で理沙ちゃんを産んだのか?」

事務長の鋭い指摘に私はコクリと頷いた。
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