一期一会。−2−
チャンスは、そこだけ。

流石に人が多い中では無理でも、人混みのない静かな場所なら…。

和を救うためには、私も何かを賭けなければならない。

何一つ、取りこぼさずに掬い切れるほどの超人ではないから。

…でも、何かを失っても、守りたいものがあるんだ。

ー…たとえ、この身を犠牲にしても。



ー「俺は何時でも王蝶に安全で
  いてほしいんだよ。

  いつも守ってやれるわけじゃないから」




何時かのソウ君の言葉が頭に浮かぶ。

ソウ君は、安全でいてほしいと願っている。

だから、きっと私が今からすることは…裏切りに値するのかもしれない。

…ごめん、ソウ君。

私は、ルールを破るね。

此処から先は、自己責任だから。

どうか、気に病まないほしい。

身勝手な我儘を、許して。



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