一期一会。−2−
「…愛されてるね、和。

 羨ましいなぁ…。

 俺は、ずっと、ずっと虐げられて生きてきた。

 誰も信じられない、いつ死ぬかも分からない、暗闇にいた。

 日の当たるところにいる、幸せな、人間が…心の底から、憎くて憎くて堪らなかったよ。

 皆、皆…俺と同じように、不幸になればいいんだ。

 あの、日下壮太って奴も、地獄に陥れてやる…っ!」

えぐるような痛みで息も整わず、希月さんを見上げる。

希月さんは、笑顔でもなく、真顔でもなく、…ただ、苦痛と怒りと、憎悪に満ちた顔をしていた。

…知ってる、その痛みを、私も、…知ってる。

「…彩羽、ごめん…っ、俺のせいで…!」

和は、私のところまで、這いずってきた。

目から、沢山の涙が溢れている。

…泣かないで、和。

私、和を守りたくて、ここまで来たんだから。

これは、本望なんだ。

…希月さんは、“不幸になればいい”と言いながら、寂しそうだった。

寂しい、苦しい、辛い、キツイ、悲しい。

色んな感情が混ぜ合わさって、今の彼を作っているんだ。

…分かるよ、一人の辛さは。

待っても待っても来ない、誰かを待ち続けることが、どれほどの思いにさせるか。



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