干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 副社長は、二人が出て行くのを見送ってから美琴に目を向ける。

 美琴は身体をこわばらせたまま、じっと動けないでいた。


「あの写真の角度からして、扉の辺りから撮影しているようですが、エレベーターには他に誰か乗っていたんですか?」

「いいえ……。でも、駐車場に着いた時、開いた扉の前に誰か立っている人がいました……」


「そこからすぐにこのメールか……。相手も仕事が早えーな。美琴ちゃんはそいつの顔は見た?」

 東が頬杖をつきながら、美琴の顔を覗き込む。

 美琴は静かに首を振った。


「男性か女性か、姿とかはわかりますか?」

「いいえ……」

「ん? 全然見ないで降りたの?」

「ごめんなさい。慌ててエレベーターから降りたので……」

 下を向いたまま再び首を振る美琴の様子に、副社長と東が顔を見合わせる。


「つまり……雅也と何かあったわけだ……」

 東が意味ありげに言い、美琴はビクッと肩を震わせた。


 雅也から告白されたことは副社長に知られたくない、どこかでそう思う気持ちがあった。
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