干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「あれ? 部長、おひとりですか?」

 美琴は無意識に部長の後ろに目をやって、俊介の姿を探していた。

「あぁ。副社長と東くんはもう少し打ち合わせがあるから、後で戻って来るだろう」

 そう答える部長の顔つきは、いつになく硬かった。


「何かあったんですか……?」

 美琴は部長の表情が気になり、不安な気持ちのまま側に近づいた。

 部長は美琴の顔を見つめてから、他の三人の顔を順に見渡す。


「ちょっとお前らに報告することがある。これは社長の決定事項だから、いかなる反論も受け付けない……」

 その言葉に、場の雰囲気が急に緊張感に包まれた。

 それぞれが不安な表情を浮かべながら、部長の前に集まる。


「緑化事業部が、副社長室を出ることになった」

「え……」

 美琴は思わず叫び出しそうになるのを堪え、口元を両手で覆った。

「ど、どういう事ですか?!」

 珍しく滝山が部長に食らいつく。

「緑化事業部は副社長室付を外れて、メンテ部と並ぶ部署としてフロアに移る。今後メンバーも増えていくだろう」
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