とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜
「え…でも」
フロイドとしてだったらノリで奢ってもらったかもしれないけれど、今は初対面なわけで。
「さすがに奢ってもらうのは悪いよ」と口に出しかけた矢先。
「全然、大丈夫なんで!ここは俺がだしますから」
私の言葉に被せるようにして、キースが声を上げた。
『は?飲み物くらい自分で買えよ。こっちは騎士団の安い給料で慎ましく生きてんだぞ』と話していたのは確かつい数週間前。
そのことを思い出すと、心の中で苦笑いを浮かべてしまう。
まぁ…あの時はフロイドとしてだったし、キースもさすがに女性に対しての扱いには気を使っているのかもしれない。
ここで断るのも彼の気持ちを無下にするようでいたたまれなかった私は「ありがとうございます。なんか、初対面なのにすみません」と素直にお礼を述べた。
「いえ!全然気にしないでください。せっかくだから好きなもの頼んでくださいね」
ニコッと爽やかな笑みをこぼすキースに私も小さく微笑み返す。
内心、キースも女の子に奢るくらいの器量を身につけたのかと成長を感じつつ、私は再度メニュー表に目を通したのだった。