【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「あ、そうそうファンヌ。あなたにお願いがあるのだけれど……」
 サワリと、温かい風が肌に触れた。これから冬がやってくるというのに、このように日差しが暖かい日の風は心地よい。微かに香る、薬草と花の香り。
「オスモ先生にも相談はしたけれど、もしかしたらファンヌの方がいいかもしれないって言われて……」
 エリッサがオスモにも相談したという点が気になった。どこか、身体に不調な点があるのだろうか。
「私……。月のものが重くて。どうしても寝込んでしまうの……」
 なるほど、とファンヌは思った。こうやって彼女とお茶の場を設けるようになって一か月以上、二日から三日に一回は会っていた。それでも、会えない時があって、彼女が体調を崩して寝込んでいるとのことだった。
 そういった話はリヴァスにいたときにも何度も耳にしていた。工場で働く女性の中にもそれで悩んでいる人がいて、ファンヌは痛みを和らげるお茶を調茶し、その茶葉を渡していたのだ。
「それなら、よく効くお茶があるのだけれど」
「本当?」
 ぱぁっとエリッサの顔が明るくなった。よっぽど酷いのだろうとファンヌは思った。症状には個人差があるし、他人の痛みをわかることはできない。恐らくエリッサはそれをわかってもらえた気分にでもなったに違いない。
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