【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
 これが、彼女が十六にして『国家調茶師』にまで上り詰めた過程であるのだが。
「ファンヌ、帰ろうか。屋敷に戻ったら、これからのことをいろいろと相談したい」
「これからのいろいろって……。結婚に向けての話?」
 エリッサが茶々を入れてくるが、エルランドはどこか落ち着きを払っている。今までの彼であれば、視線を泳がせて動揺している様子を悟られないように取り繕っていたはずなのに。
「エル兄さま……。ファンヌさんから名前で呼んでもらえるようになって、性格もお変わりになられたわね」
 エリッサの呟きに、ファンヌもそういうものなの、と思わずにはいられなかった。
「そうかもしれないな……。のんびり待とうかと思っていたが、いい加減にしろ、と兄上たちからも言われたからな。エリッサもそう思っていたんだろう?」
「そうだけど……」
 そもそも、エルランドを焚きつけたのはエリッサだ。その話が、他の関係者にまで飛び火している状態。
「やはり、オレの『番』である自覚を持ってほしい。というのがオレの願いだ」
「ですが。私はまだ……」
「ああ。君の気持ちは尊重する。だけど、オレの気持ちは隠さない」
「エル兄さまが格好良く見えてきたわ。エル兄さまもやるときはやるのね」
 先ほどから時折挟まれるエリッサの言葉が、余計にファンヌを恥ずかしくさせている。そしてエルランドもその言葉に気分を良くして、自信を持ってくるのだ。こんなエルランドをファンヌは知らない。
< 112 / 269 >

この作品をシェア

pagetop