【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「たまには、こういった幼い髪型もいいかなと思いまして」
 幼いと表現したのは三つ編みの部分だろう。わざと下に垂らしているところが、いつものまとめ髪と違うような気がする。
「きっと、エルランド様も気に入ってくださると思うんですよね」
 サシャの一言で、ファンヌの顔に熱がたまった。
 エルランドがファンヌに対して積極的(?)になってからというもの、ファンヌも調子が狂わされている。
 いや、こちらに来てからというもの、心臓が苦しくなったり、顔が火照ったりすることは多々あった。さりげなくオスモに相談してみたが、病気ではないから心を落ち着けなさい、と言われて終わった。
 だから、懐かしいリヴァスのお茶を飲むようにしているのだが、心は落ち着くどころか、エルランドによって振り回される始末。
「ファンヌ、準備はできたのか?」
 勝手にファンヌの部屋の扉を開け、顔をぬーっと出してくるエルランドを咎めたのはサシャだ。
「エルランド様。お部屋に入るときは、せめてノックをしてからにしてください」
「す、すまない。気が急いて、つい……」
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