【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
 少し生地の厚いワンピースではあるが、朝方は上にコートを羽織らなければ外を歩けないような時期だ。
「雪、楽しみです」
「やはり、ファンヌだな」
 ちょっと小馬鹿にされたような気がして、ファンヌは頬を膨らませた。毎日、そうやって他愛のない話をして『調薬室』や研究室まで、エルランドと共に行き来している。
「ファンヌ。今日は工場の方にも寄っていくのか?」
「はい。作業の状況も気になりますが、あそこで働いている作業者の皆さんのことも気になるので」
「あそこで働くようになった者たちだが。適度に身体が疲れて、よく眠れるようになったとも言っていた」
「なるほど。そうなんですね」
 リヴァスの民には辛い作業でも、ベロテニアの民には程よく疲れる作業のようだ。
 適材適所と昔からよくいうけれど、まさしくそれがうまくいっているような気もしていた。
『調薬室』に入り、オスモのところへ顔を出す。手伝うときもあるが、最近では体調を崩すものも減ってきたため、オスモともう一人の『調薬師』で回すことが多いようだ。手の空いた『調薬師』は研究室にこもって、好きなことをやっているに違いない。
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