【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「ファンヌ。そのまま外に出てみろ」
「え。ですが、雨に濡れてしまいます。せっかくサシャに髪を結ってもらったのに。それに、このワンピースも」
 ファンヌが今日着ているワンピースは、数あるワンピースの中でも彼女のお気に入りのホワイトリリーのワンピースだ。艶やかな暖色系の衣類よりも、ファンヌは自分の髪色と同じような寒色系のデザインを好む。その上に、茶色のコートを羽織っていた。
「大丈夫だ。君に魔法をかけたから」
 じぃっとエルランドを見つめたファンヌだが、思い切ってドアフードの下から外に一歩、足を踏み出した。
 すると空から落ちてくる雨は、ファンヌの身体を弾いて地面に落ちた。
「うわっ」
 その光景に思わず声を漏らすファンヌ。エドアルドも、彼女の隣に並んだ。
「雨を弾く魔法。これであれば濡れることなく『調薬室』まで行けるだろう?」
「はい。ありがとうございます。すごい。こんな魔法の使い方もあるんですね。うわぁ」
 ファンヌは歩きながら、自分の身体を弾く雨を見て楽しんでいた。
 いつも歩きながら眺めている薬草園からは、とっくに人の姿が消えていた。
「この時期の雨は、日に日に冷たくなっていく。もうしばらくすると、雪が舞う季節になる。外に出るときも、温かい恰好をしろ」
< 128 / 269 >

この作品をシェア

pagetop