【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
 今も転移魔法陣の上には、ファンヌ一人で持てるような籠に入った荒茶がポツンと置いてあった。朝の確認時にはまだ無かったのだろう。その後、向こうから送られてきたに違いない。
 ファンヌは籠を手にすると部屋から出て、隣の部屋へと移動する。
「あ、ファンヌさん。おはようございます」
 ファンヌの姿に気づいた作業員が声をかけると、他の作業員たちも視線をファンヌに向け次々と挨拶をする。
「みなさん、今日も朝からありがとうございます。それから、これ、リヴァスから届いていました」
 作業員の担当者に荒茶の籠を手渡す。リヴァスから届けられた荒茶は、種類ごとに分けられて地下室の保管庫で管理される。地下室の保管庫は魔法で低温管理されているためお茶の保管に適しているのだ。
 その後、荒茶を選別し、魔法を使って火入れ作業をする。『製茶』の中で最も魔力を使うのがこの工程だ。だから、この作業には魔力を多く持つ者が配属されることが多い。最後に薬草と配合してお茶ができあがる。一連の作業は立ち仕事であり、魔力も必要とされることから大変な作業とされているのだ。特に魔力の少ないファンヌが火入れ作業を一人で行うと、次の日は生活魔法すら使えなくなることすらあった。
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