【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「す、すまない。これ以上は、オレが我慢できそうにない」
 顔中を真っ赤に染め上げたエルランドは、照れたように口元を押さえていた。
「あの……。嫌、じゃなかったです」
 ファンヌも、ほんのりと頬を染めながら答えた。
「いや。いやじゃないんだが、その。ちょっと待ってくれ。ファンヌは、オレのことが好きなのか?」
 細い碧眼をそれなりに開きながら、エルランドはファンヌの両肩を掴んで尋ねた。
「た、多分……。自信はありませんが。できれば、これからも一緒にいたいと思っています」
 ガバリとエルランドが立ち上がった。
「すまない。ちょっと報告してきてもいいだろうか」
「報告? どちらに?」
「ショーンだ。君と結婚するということを報告してくる。しばらく一人にさせてしまうが、すぐに戻ってくるから待っていてくれ」
「け、結婚ですか?」
 いきなり『結婚』と言われ、ファンヌも口をポカンと開けてしまった。
「家族でもない男女が一緒にいるには『結婚』する必要があるだろう」
「そうですけど」
「だから、ちょっと待っていろ」
 バタバタと激しく音を立てながら部屋を出て行ったのは、その辺の家具にぶつかっていったからだ。よほど慌てていたのだろう。
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