【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「サシャに聞かれたんです。エルさんと離れる生活を想像してみて、それに耐えられるのかって。一緒にいるのが当たり前すぎて、そんなこと、考えたことが無かった……」
 ファンヌの目尻からはじわっと涙が溢れてきた。
「ごめんなさい。私、自分の気持ちがよくわかりません。だけど、もう、先生と離れる生活は想像できません。今も、先生の側にいたい……。もうちょっとだけ、側にいてくださいませんか?」
 つい呼び慣れた『先生』という言葉がファンヌの口から出てしまったことに、彼女は気づいていない。それだけ気持ちが高ぶっているのだ。
 ぐっとエルランドがファンヌを抱き締めた。ファンヌは驚いて、腕の中から彼の顔を見上げる。
「オレからこういうことをされて、嫌か?」
「嫌、じゃありません」
「だったら、キスしてもいいか? 嫌だったら拒んでくれていい」
「えっ……」
 気づいたら、唇をエルランドの唇で塞がれた。拒んでもいいと言われたが、拒みたいとは思わなかった。ただ、唇から伝わってくる冷たい刺激が、固まった心を溶かしてくれる感じがした。
 もうしばらくこのままで――。ファンヌも恐る恐る、彼の背に腕を回そうとしたのだが、パッと引き離されてしまう。
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