【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
 ファンヌもそれについていけばよかったものの、化粧室に寄ってから入ると、変に気を使ってしまった。それが良くなかった。
 ファンヌは恐る恐る振り返る。
「クラウス様……」
「ああ、やっぱりファンヌだった。ただでさえ女性は少ないし、君の髪の色は目立つからね」
 ファンヌは深々と頭を下げた。これ以上、関わりたくないという意味を込めて。
「なんだって、他人行儀だな。僕と君は婚約していた仲じゃないか」
「それは、過去の話です。クラウス様にはアデラ様がいらっしゃいますよね」
 クラウスは鼻で笑った。
「アデラ? あの女は僕の婚約者の器じゃなかったんだ。だから、別れた」
「え?」
 確かアデラはクラウスとの子を宿していたはずだが。その考えがファンヌの頭をよぎっていく。
「それに彼女は、教育も受けようとはしないし、政務も手伝おうとはしない。教養も足りない。僕の正妃に相応しくない、という話になったんだ」
「では、アデラ様は?」
 そう尋ねたファンヌであるが、アデラよりも二人の子の方が気になっていた。
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