【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
 エルランドも見えない力によって、動きを封じられているようだ。全身をファンヌに預けるようにして、身体中の力が抜けていく。ぐっとファンヌの身体に彼の重みが加わった。
 このような攻撃から身を守れる魔法を使うことは、ファンヌにはできない。むしろ、『国家魔術師』と呼ばれる者たちの一部の人間しか使うことができないはずだ。
「遅くなって悪かったな、ファンヌ。やっぱり、救世主(ヒーロー)は遅れて登場しないとな」
 会場内に響いた声。それはファンヌも良く知っている声。幼い時から知っている。いや、途中で声変わりをしたから、その声を聞くようになったのはここ十年ほど。
「お兄様」
 会場の前方の扉から入ってきたのは、ハンネスだった。他に、幾人かの騎士を従えているようにも見えた。
「これで、役者は揃ったわけだね」
 自らを救世主呼ばわりしたハンネスは、リヴァス国王を鋭く見つめていた。
「さて、国王陛下。私は、あなたの首を取りに来ました」
 反逆罪と捕らえられてしまってもおかしくないようなことを、ハンネスは平気で口にしているし、口調もどことなく軽い。重い空気も軽くしてしまうのが、ハンネスなのだ。
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