【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
『クラウス。お前は何のために学校で研究に励んでいるのだ? ベロテニア人に良く効く薬のためではないのか?』
 国王が何を望んでいるのか、クラウスは理解した。それに、クラウスと向かい合ってくれた女性はファンヌだけ。もう一度彼女がこの手に戻るのならば、と淡い期待を寄せながら――。
 そのクラウスはオグレン領で預かることにしたらしい。オグレン領にはヘンリッキもいるし、何よりも本人がそこで『調薬』の仕事をしたいと希望したためだ。時期がきたら、王妃と共にオグレン領へ向かうとのこと。
 あの時からそのような姿を見せてくれれば、ファンヌもクラウスにもう少し好意を抱くことができたのかもしれない。だが、すでに過ぎ去ったこと。
 これからのクラウスの生活が、少しでも良い方向に転がっていくことを願うだけである。

 あれから五日が経った。エルランドはあれ以降眠ったままだし、何よりも獣化が解けない。
 さらに王宮内は混乱をしているし、ベロテニアの『調薬師』からリヴァスの国王となったオスモは、内部を統制することに忙しそうである。それでも、隣の工場で『調薬』や『調茶』をさせ、民に仕事を与えるとも言っていた。
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