【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「ん、んっ。とにかく、このベロテニア王国には、まだ獣人の血を継いでいる者たちが多く生活していることは、ご存知だろうか」
「はい。ですが、そちらの血はほとんど薄れているというお話は、先生から教えていただきました」
 先ほどからファンヌがエルランドのことを「先生」と呼ぶたびに、視線がエルランドに集まることに、ファンヌは気づいていた。だが、彼のことを他にどう呼んだらいいかがわからない。
「そうだな。獣人の血はほぼほぼ薄れている。だが、王族だけは違っていて。まだその血が他よりも濃く受け継がれている」
 ということは、ここにいる者たちも獣人の血を色濃く受け継いでいる者たちと解釈していいのだろうか。
「獣人の血が濃いということは、獣人の特徴も強く持つということだ。それの一つが『運命の番』と呼ばれるもの。獣人は特別な相手が本能的にわかる特徴を持つ。だから、身分や国籍など関係なく、生涯の相手には『運命の番』であることが何よりも尊重される。昔は『番』を伴侶にしなければ、気も狂ってしまうほど深い繋がりがあったとされているが、今は血も薄れているため、相手が『番』であるかどうかわかる程度の力しかない。だから『番』を伴侶としなくても、気が狂うこともない。そうだな、一目ぼれ的な強い衝動が訪れると言った方がわかりやすいだろうか」
 ようするに、結ばれるべき相手がすぐにわかるのだろう。だが、その相手を手に入れることができなくても、ただの失恋で済む。そういった話に聞こえた。
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