【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「素敵なお話ですね」
 ファンヌは心からそう思った。自分の相手は、権力と政略によって決められた相手だった。だからあのままクラウスと結婚をし、子を授かったとしても、その子を愛せるかどうかの不安があった。だが、それはもう過去の話。
「もしかして、陛下も」
「そうだ」
 ゆっくりと頷く国王と王妃が羨ましく見えた。ファンヌが視線を二人の王子に向けると、彼らも頷く。
「私は、残念ながらまだよ」
 聞いてもいないのに、エリッサが唇を尖らせて答えている。
 そして最後にエルランドを見る。彼は先ほどからファンヌの方を見ようとはしない。
「ファンヌ嬢。どうか驚かないで聞いて欲しいのだが」
 こういった前置きをされる場合は、これから驚く話をするぞ、というときによく使われる。それは『研究』の成果を発表する場でも用いられる手法であるため、ファンヌにとっては耳慣れた言葉でもあった。
「どうやらファンヌ嬢が、エルランドの『運命の番』とのことだ」
 驚くな、と言われていなかったら驚いていた。間違いなく「え、えぇえっ」と声を上げていた。ファンヌはその言葉を飲み込み、ただじっとエルランドを見つめる。
< 45 / 269 >

この作品をシェア

pagetop