ビター・マリッジ
姉の代わりに妻として充てがわれた私は、幸人さんのことをほとんど何も知らなかった。
幸人さんと姉とはお見合いのあとに何度かふたりでデートをしていたようだけれど、姉の後釜として婚約者になった私に、幸人さんからのお誘いはなかった。
その時点で、私と幸人さんとの結婚に良い兆しがないことを何となく感じ取ってはいた。
姉の代わりに形式的に婚約した私と幸人さんは、お互いにほとんど顔を合わせないままに結婚式当日を迎えることになったのだ。
他人行儀に顔を合わせた幸人さんとの挙式は、周囲の助けもあって無事に終わった。けれど、挙式後に泊まったホテルの部屋でふたりきりになった途端、私たちのあいだに気まずい雰囲気が流れ始めた。
交際0日どころか、親交0日に等しい私たちには、共通の話題が見当たらない。
姉と婚約していたときの親族の顔合わせでは、両親たちの話の盛り上げ役になってくれていた幸人さんが、私とふたりきりになってからは全くといっていいほど何も話してくれない。
間を保たすためか、新婚初夜であることの私への気遣いか。幸人さんは、お風呂上がりの私を早々にベッドへと倒した。