とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。
「かしこまりましたわ、わたくしが責任持ってご案内いたします。こちらですわ」

 そうしてわたくしはつい先日まで在籍していた教室までやってきた。目的の人物は美しい水色の巻き髪の女生徒である。

「え? ハーミリアさん? 貴女、クラスが変わったのではなくて?」
「シルビア様。実はご紹介したいご令嬢たちがいらっしゃいますの」

 そうしてわたくしはシルビア様に心強い味方になるであろうご令嬢たちの、ライオネル様ファンクラブ入会の案内を託したのだ。



 午前中はそのまま平和に授業を受けて、いよいよランチタイムがやってきた。
 今日はライオネル様とふたりきりになれる場所へ移動しなければならない。広大な学院ではあるが生徒数も多いため、移動にはそれなりに時間がかかる。

「ハーミリア、ふたりきりになれる場所って、どこまで行くんだ?」
「わたくしが発見したのは、こちらですわ」

 前に生徒会の役員の仕事で言いつけられた用事をこなすために、学園中を歩き回ったことがある。その時見つけた穴場だ。

「ここは……魔法練習場の裏か」
「ええ、ここはランチタイムに来る場所ではありませんから穴場なのです」

 魔法練習場は特殊な結界を張った建物で、その裏手は休憩できるようにベンチなどが置かれている。でも校舎からは距離があるので、時間の限られたランチタイムに来る生徒はいなかった。

「ここならふたりきりですわ」
「そうか、では遠慮はならないな」
「え?」

 そういうとライオネル様はわたくしを膝の上に乗せて、わたくしのランチボックスからプチトマトを取り出した。
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