とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。
「ほら、口を開けて。ハーミリア」
「えっ! ちょっと待ってくださいませ、これでは自分で食べられませんわ!」
「そうだね、だから僕が食べさせてあげる」
「いえいえいえいえ! そうではなくて、これではライオネル様がお食事できませんでしょう!?」
一瞬なにかを考えたライオネル様は、うっとりするほど美しい笑顔で衝撃の発言をする。
「それじゃあ、お互いに食べさせれば問題ないな」
「なんでそうなるのですか……!?」
「ほら、ハーミリアも食べさせて」
そう言って無防備に口を開いているライオネル様のかわいさは、わたくしの心を鷲掴みにして激しく揺さぶってくる。もう羞恥心などかなぐり捨てて、ライオネル様の言葉に従った。
「はい……」
フォークに差したチキンの香草焼きをライオネル様の口へそっと運ぶと、パクリと食いついてくる。人に物を食べさせるのなんて初めての経験で、しかもそれがライオネル様なのでわたくしは夢中になった。
「ほら、今度はハーミリアだよ」
そうやって順番に食事を口に運んでいった。もちろんライオネル様の膝の上でだ。途中で今はふたりきりだから、ラブラブバカップルを装うのは必要ないのではと思ったけれど、ライオネル様の嬉しそうな笑顔を前にその考えは霧散した。