とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。
息も絶え絶えになりながら、なんとか食事を食べ終わり片付けをしていた時だ。
突然ライオネル様に「ハーミリア!」と鋭く名前を呼ばれ、次の瞬間に頭上から降ってきた泥水は氷の粒へと変っていた。
「ハーミリア、大丈夫か? どこか怪我や汚れてはいないか?」
ライオネル様は、パラパラと落ちてきた泥水の氷粒を優しく払いながら、心配そうにわたくしを覗き込む。
「はい、ライオネル様が守ってくださったので、どこも怪我しておりませんし汚れてもおりませんわ」
「そうか、よかった……でもどうしてこんなところに泥水が降ってきたんだ?」
上を見上げてみても、魔法練習場の明かりとりの窓が僅かに空いているだけで、人の気配はなかった。
「それよりライオネル様、そろそろランチタイムが終わってしまいますわ。教室に戻りませんと」
「そうだけど、本当に大丈夫か?」
「はい、なんでもありませんわ。魔法の練習をしていた生徒がいたのかもしれませんわ。さあ、行きましょう」
本当にこの程度の嫌がらせなどなんてことない。いつものことだろうと、わたくしは特に深く考えていなかった。