BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに

3.

 重要なのは学院の卒業パーティだ。クラレンスの乾杯の儀からシナリオの分岐は始まっている。ここでクラレンスが毒入りグラスを選ばなかったら、第一もしくは第二のシナリオへ進み、それを飲み干してしまったら第三のシナリオへと進む。
 このグラスを選択するのが第三者である神のような存在であるプレイヤー。初プレイではこれが分岐を決める選択肢とはわからず、どっちでもいいやと適当に選んでしまった記憶が蘇ってきた。
 本来であれば、第一のシナリオ、第二のシナリオ、第三のシナリオと順番通りに進めていくのが王道というか、心臓に負担の少ない進め方なのだが、ジーニアの中の人は第三のシナリオから初めてしまったというチャレンジャーのような精神の持ち主だ。いや、当時のジーニアの中の人にとっては不可抗力。だって、知らなかったのだから。

 では、そんな心臓に負担の大きい第三のシナリオとは。

 先にも説明したが、シナリオの分岐はクラレンスが手にするグラスによって決まる。つまり、第三のシナリオは毒入りグラスを受け取ってしまったクラレンスによって始まってしまうのだ。
 毒入りの飲み物を口にしてしまったクラレンスは、もちろん毒にその身体を侵されてしまう。しかもその毒入りの飲み物、ただの毒ではなく呪いも込められているという、なんともまぁ、やっかいなもの。
 呪いの込められた毒によって、クラレンスは徐々に身体を蝕まれていく。その呪いを解くために必要なのがシリルの愛だったとなれば、結果オーライ、一粒で二度美味しいシナリオになるのだが、そうならないのがこのゲームの嫌なところでもある。

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