BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ヘレナはカップを置くと、ワッフルに手を出した。王宮料理人の自慢の一品である。それを食べ終えてから、言葉を続ける。

「そうそう。今日、ジーンに会いにきたのは、報告があったからです」

「なんの?」

「私、婚約しました。わぁ。パチパチパチパチ」
 ヘレナは自分で拍手をしている。

「うっそ。おめでとう。え? 誰と?」
 ジーニアは身体をヘレナの方に向け、恋する乙女のように胸の前で両手を組んだ。

「グレアム様です!」

 ヘレナが腰に手を当て、胸を張って答えている。

「え?」

「だから、グレアム様……」

「え、えぇええええ?! なんで、どうして? ジェレグレは消えたの? え、お兄さまは?」

< 160 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop