BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 それはボーイズ・ラブと呼ばれる男性同士の恋愛話に興じること。読む、書く、そしてプレイする。プレイとはもちろんゲームのことで、そして恐ろしいことに、この世界がそのプレイしていたゲームの世界であることに気付いてしまったジーニアの昔の記憶。
 気付いた原因は、このジーニアの目の前でニコニコと笑顔を浮かべている兄にある。ケーキを頬張りながらジーニアが兄の顔を見ると、その兄は笑みを浮かべながらジーニアのことを見つめ返す。彼からは妹大好きオーラが溢れていて、いろんな意味で眩しい。
 お兄さまごめんなさい、とジーニアは心の中でそっと謝った。

 さてジーニアが兄に対して謝ったところで、このゲームの世界について説明しよう。

『光り輝く君の中へ』というゲームは、男性同士の恋愛を主体としたゲームである。ゲームの中に登場する一人のプレイヤーになりきって、他の男性を攻略していくゲームではなく、三つのシナリオがあってそれぞれの話を第三者になって進めていく形式のゲームだ。つまり、プレイヤーは神的存在。神の手によってそれぞれのカップリングを成就させるのだ。

 そして、何を隠そう、というよりも、絶対に隠しきれていないのだが。
 目の前の兄ジェレミーこそがそのシナリオの一つに出てくるカップリング対象者なのだ。

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