BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ジェレミー・トンプソン、二十四歳、は『ワンコ系攻め』。人懐っこくて健気である。今回、その人懐っこさ、つまり部下からの人望もあって、隊長に抜擢されたというところになる。
 そしてその兄の相手が彼の部下であり、副隊長のグレアム・アシュトン。年はジェレミーより一つ年上の二十五歳。その見目のせいか、他の部下たちからは近寄りがたいと言われている。だが、隊長であるジェレミーにだけ見せる弱みと甘い顔。つまりのところ『ツンデレ受け』なのだ。

『ワンコ系攻め』と『ツンデレ受け』なんて、尊い。この美麗スチルは鼻血ものだった。

『攻め』である兄のジェレミーは金髪でジーニアと同じ水色の瞳。その金髪は犬の毛並みのようにふわふわとしている。
『受け』のグレアムは茶髪の短髪。青の瞳がキリっと凛々しくて、それが近寄りがたい雰囲気も醸し出しているのかもしれない。しかもグレアムの方がジェレミーより体格がいいとか、そっちが『受け』なのとか。マニアな心をくすぐる設定。

 今、平静を装って、お上品にケーキを口元に運んでいるジーニアではあるが、心の中の腐女子は鼻血を噴いている、むしろ噴き上げていて、その反動で後ろにバタリと倒れてしまったところ。

 ――しかもジェレミーの第五騎士隊隊長就任って、二人のシナリオのオープニングよね。ああ、だから思い出したのか。偉いよ、私。

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