BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「おい、ジーン。……。何もそんなに驚くこと、無いだろ?」

「あっ。お兄さま」
 ジーニアがあまりにも激しく身体を震わせてしまったため、声をかけた当の本人も驚いてしまったようだ。
「急に声をかけられたら、誰だってそうなります」

「すまない、すまない。ジーンを見つけて、つい、嬉しくて。そのドレス、とてもよく似合っている」

「ありがとうございます、お兄さま。そうでした、紹介が遅れました。こちら、私の大親友、心の友のヘレナです」
 突然、話を振られたヘレナも少し動揺したが、これは名前を売るチャンス、ではなく、あのカップリングに近づくチャンスだと思い、簡単に名を名乗る。

「ヘレナ嬢の噂は聞いている。今までの入団試験の女性のトップの記録を塗り替えたとか……。ぜひとも、我が第五隊にとも思っていたのだが、やはり優秀な人間は第一にとられてしまう。恐らく、ヘレナ嬢はアマリエ様付きの護衛騎士だろうな」

「そうなんですか」
 と声をあげたヘレナは少しがっかりした様子。
「ですが、ジェレミー様と共に仕事をできる日を楽しみにしております」
 ヘレナが言えば、ジェレミーも照れたかのように「お、おお、そうか」なんて言っているのだが、ジーニアはこんな兄を見たことがない。
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