BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「ひっ」
 とヘレナが変な声を出した。
「隊長。そろそろ始まりますので、指揮を」

「あぁ、すまない。グレアム」

「ところで、隊長。こちらの方は?」
 じろりとジーニアとヘレナは鋭い視線を投げつけられた。

「俺の妹のジーニアだ。そして、こちらがあの噂のヘレナ嬢」

「隊長にこのような可愛らしい妹さんがいらしたのですね。お初にお目にかかります。私、王立騎士団第五騎士隊の副隊長を務めておりますグレアム・アシュトンと申します」

 鋭い視線を投げつけられたとしても、ジーニアもヘレナも、ぽーっと頬を赤らめて見つめていたのだろう、グレアムを。ではなく、ジェレグレを。グレアムの声で我に返った二人は、ドレスの裾を持ち上げ令嬢としての挨拶を行う。
「是非とも一曲、お相手を願いたいものですね」
 社交辞令だとしても、あのグレアムからそんなことを言われてしまったら、二人は余計に頬を赤らめてしまう。
 ツンデレのくせにツンツンしていないではないか。それは、ジェレミーがいるからか。どうなんだ。ジーニアの心の中は歓喜で溢れている。

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