BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「おいおい、ジーン。グレイに惚れるなよ? こう見えてもこいつ、婚約者がいるんだから」

「隊長。こう見えても、というところが余計なところです」

「そうかぁ?」
 ジェレミーとグレアムが二人でじゃれ合っている。ジーニアの心の中は「尊し」という言葉で溢れ返っていた。

「ジーン、ヘレナ嬢。君たちがパーティを楽しめるように、俺たちがしっかり警備を担当するからな」

「隊長。せっかくですから、合間に妹君と踊ってきたらいかがですか? その間は、私が責任を持って任務につかせていただきますので」

「お前の優しさに裏を感じる」
 そうそう、グレアムはジーニアにさえ嫉妬する男。それにも関わらず兄妹で踊ってこいと口にするとは、裏しか感じない。

「ええ。裏心は満載ですから」
 どんな心だよ、とジェレミーが笑顔でツッコミを入れている。それでもそろそろ時間なのだろう。
「じゃ、ジーン。また後でな」
 ひらひらと片手を振って他の隊員たちの元へと向かう。グレアムも、二人に頭を下げて、ジェレミーの後を追う。

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