BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 見たい。
 こそっと草の影や壁の隙間から、この二人の絡みを見たい。ジーニアがただのジーニアであったのなら、気にはしなかった。だけど思い出してしまったのであれば、腐女子としての心が疼く。

 ――二人の絡みが見たい。

 願うところはそれしかない。

「どうかしたのか、ジーン。もしかして、こっちのケーキが食べたかったのか? 可愛い奴だな。ほら」

 じっとジェレミーを見つめて妄想をしていたからだろう。どうやら兄は勘違いをしてしまったようだ。それでも兄に甘える可愛い妹を演じる。ほら、と言われてしまったらジーニアは口を開けるしかない。

「どうだ、美味しいか?」

 違う意味で美味しい。兄の笑顔が眩しい。腐った心に突き刺さる。

< 6 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop