BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 謎の優しい女性はそれだけ言葉を残して、この謎の部屋から出ていった。
 一人、寝台の上で仰向けになっているジーニア。先ほどの感覚では、背中に体重がかかっているこの状況はよくないような気がするのだが、だけど身体を動かそうとすれば先ほどのように激痛が襲う。
 さて、次第に明るくなっていく脳内。何が起こったかを思い出そうと必死になってみる。

 ――ここはどこ?
(『ひかきみ』の世界)
 ではなくて、この場所。どこかと自問自答してみるが、どこかわからない、という答えにいきつく。
 では、このような状態になる前に、自分は何をしていたのか。

 ――ああ、そうだ。卒業パーティに参加していたんだわ。

 ヘレナと共に学院の卒業パーティに出席していた。偉い人の激励の話という薀蓄話も終わり、乾杯の儀へと進んでいたところ。クラレンスはシリルからグラスを受け取ったものの、彼の隣にいたモブ的偉い人の動きが気になっていたら――。

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