Macaron Marriage
階段の両脇には建物がいくつかあったが、どの扉も閉まっていた。奥のチャペルとの繋がりから見て、参列者の待合室と、新郎新婦の控え室がそれぞれあるように思えた。
本当にここは日本なのかしら……そう錯覚してしまうほど、ヨーロッパの風景が再現されている。
階段を登り切るとそこには石畳の広場と、奥に可愛らしい小さなチャペルが姿を現した。三角屋根の下に施された小さな飾り窓には、美しいステンドグラスが光を浴びて輝いている。
「うわぁ……素敵……」
萌音の口から感嘆の声が漏れたその時だった。
「萌音さんにそんなふう言っていただけるなんて嬉しいですね」
突然背後から声がして振り返ると、そこには翔がにこやかに微笑みながら立っていた。
「ちょうど階段を登り始めた萌音さんを見かけたんです。そうしたらタイミング良く褒めてくださったから、私も嬉しくなってしまいましたよ」
「あっ……すみません、式場待ち合わせだったと思って上まで来ちゃいました」
「大丈夫です。私もそのつもりでしたから。せっかくだから萌音さんにサプライズをしたかったけど、まぁいいですかね」
「サプライズ?」
「えぇ、ここからの景色は格別なんですよ」
そう言うと、翔は萌音の背後を指差す。チャペル前の広場を囲うように建てられた柵の向こう側に、青い空と連なるような海が光を反射しながらキラキラと輝いていた。
「うわぁ……ここから海までって、少し距離がありますよね」
「でもここが高台なので、海まで見渡せるんです」
萌音はうっとりしながら柵のそばに近寄ると、翔が彼女の背後に立ち、柵にそっと手を掛けた。その瞬間、萌音の心臓が大きく跳ね、ゴクリとってを飲み込む。
これってまるで……壁ドン的なシチュエーションじゃない⁈ 翔さんってば無意識にやってる⁈ 彼の熱を背中に感じながら、呼吸の仕方を忘れてしまう。
「ここからね、海をバックに写真を撮ったりするんです。青空も映えてなかなか良い写真が撮れますよ」
「そ、そうなんですか……」
緊張感が増して、萌音は会話どころではなくなってしまう。汗が噴き出て、視線も定まらずに泳ぎ続ける。翔はそんな彼女を見てクスクス笑うと、すっと体を離した。
「ではそろそろ行きましょうか。チャペルから案内しますね。こちらへどうぞ」
「は、はい!」
翔は萌音の前に手を差し出す。萌音は戸惑いながらも、スカートで手汗を拭き取ってから、その手に自分の手を重ねた。
本当にここは日本なのかしら……そう錯覚してしまうほど、ヨーロッパの風景が再現されている。
階段を登り切るとそこには石畳の広場と、奥に可愛らしい小さなチャペルが姿を現した。三角屋根の下に施された小さな飾り窓には、美しいステンドグラスが光を浴びて輝いている。
「うわぁ……素敵……」
萌音の口から感嘆の声が漏れたその時だった。
「萌音さんにそんなふう言っていただけるなんて嬉しいですね」
突然背後から声がして振り返ると、そこには翔がにこやかに微笑みながら立っていた。
「ちょうど階段を登り始めた萌音さんを見かけたんです。そうしたらタイミング良く褒めてくださったから、私も嬉しくなってしまいましたよ」
「あっ……すみません、式場待ち合わせだったと思って上まで来ちゃいました」
「大丈夫です。私もそのつもりでしたから。せっかくだから萌音さんにサプライズをしたかったけど、まぁいいですかね」
「サプライズ?」
「えぇ、ここからの景色は格別なんですよ」
そう言うと、翔は萌音の背後を指差す。チャペル前の広場を囲うように建てられた柵の向こう側に、青い空と連なるような海が光を反射しながらキラキラと輝いていた。
「うわぁ……ここから海までって、少し距離がありますよね」
「でもここが高台なので、海まで見渡せるんです」
萌音はうっとりしながら柵のそばに近寄ると、翔が彼女の背後に立ち、柵にそっと手を掛けた。その瞬間、萌音の心臓が大きく跳ね、ゴクリとってを飲み込む。
これってまるで……壁ドン的なシチュエーションじゃない⁈ 翔さんってば無意識にやってる⁈ 彼の熱を背中に感じながら、呼吸の仕方を忘れてしまう。
「ここからね、海をバックに写真を撮ったりするんです。青空も映えてなかなか良い写真が撮れますよ」
「そ、そうなんですか……」
緊張感が増して、萌音は会話どころではなくなってしまう。汗が噴き出て、視線も定まらずに泳ぎ続ける。翔はそんな彼女を見てクスクス笑うと、すっと体を離した。
「ではそろそろ行きましょうか。チャペルから案内しますね。こちらへどうぞ」
「は、はい!」
翔は萌音の前に手を差し出す。萌音は戸惑いながらも、スカートで手汗を拭き取ってから、その手に自分の手を重ねた。