Macaron Marriage
「……あの、もしよろしければなのですが、セミオーダーはいかがですか?」
「セミオーダー?」
同時に声を上げた二人に萌音は頷きながら、カバンからスマホを取り出す。そして自身の店のホームページを開くと、レンタル用のドレスの写真が掲載されたページを見せる。
「レンタルで出しているマタニティ専用のドレスは一着しかないんです。ただそのデザインを基準として作らせていただいて、そこにお二人のご希望を追加していくというのはどうでしょうか?」
すると二人の前に座って話を聞いていたプランナーの女性が、使用していたパソコンで同じページを開いてくれた。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、どうぞこちらに座ってください。オーナーはそっちの椅子でお願いしますよ」
「もちろん」
促されるまま二人の前に腰を下ろすと、借りたパソコンの画像を二人に見せる。
「例えば、このドレスのデザインを取り入れたいって言ったら出来るんですか?」
彼が指差したのは、ギャザーの入った大きな丸襟が二段重なって肩まで覆い、フワッとしたスカートがレトロな印象を与えるドレスだった。
「出来ますよ。こちらのマタニティのドレスの襟元をアレンジして、胸元からソフトチュールを何段か重ねれば、妊婦様でも無理せず着られるデザインになると思います」
萌音がキョロキョロと辺りを見回すと、隣に座っていたプランナーの女性が紙とボールペンを差し出してくれた。
「使われますか?」
「あ、ありがとうございます!」
想いが伝わったことに驚きつつ、今話したデザインをサッと描いていく。すると波斗と紗世は目を輝かせながらラフ画のドレスを眺めた。
「紗世ちゃん、どうする? やっぱりレンタルでいいって思ってる?」
「……こんな素敵なデザインを見ちゃったら、やっぱりこっちが良くなっちゃう……」
二人は顔を見合わせると、答えが出たように頬を染めて頷き合う。
それから萌音の方に向き直り、
「是非セミオーダーでお願いします!」
と声を揃えて言ったのだった。
萌音が目を見開いて翔のほうを向くと、彼もまた嬉しそうな顔で萌音を見ていた。
「私で良いんですか……? あの……こちらこそよろしくお願いします!」
こんなふうに仕事をいただけたのは初めてだったので、喜びもひとしおだった。
「セミオーダー?」
同時に声を上げた二人に萌音は頷きながら、カバンからスマホを取り出す。そして自身の店のホームページを開くと、レンタル用のドレスの写真が掲載されたページを見せる。
「レンタルで出しているマタニティ専用のドレスは一着しかないんです。ただそのデザインを基準として作らせていただいて、そこにお二人のご希望を追加していくというのはどうでしょうか?」
すると二人の前に座って話を聞いていたプランナーの女性が、使用していたパソコンで同じページを開いてくれた。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、どうぞこちらに座ってください。オーナーはそっちの椅子でお願いしますよ」
「もちろん」
促されるまま二人の前に腰を下ろすと、借りたパソコンの画像を二人に見せる。
「例えば、このドレスのデザインを取り入れたいって言ったら出来るんですか?」
彼が指差したのは、ギャザーの入った大きな丸襟が二段重なって肩まで覆い、フワッとしたスカートがレトロな印象を与えるドレスだった。
「出来ますよ。こちらのマタニティのドレスの襟元をアレンジして、胸元からソフトチュールを何段か重ねれば、妊婦様でも無理せず着られるデザインになると思います」
萌音がキョロキョロと辺りを見回すと、隣に座っていたプランナーの女性が紙とボールペンを差し出してくれた。
「使われますか?」
「あ、ありがとうございます!」
想いが伝わったことに驚きつつ、今話したデザインをサッと描いていく。すると波斗と紗世は目を輝かせながらラフ画のドレスを眺めた。
「紗世ちゃん、どうする? やっぱりレンタルでいいって思ってる?」
「……こんな素敵なデザインを見ちゃったら、やっぱりこっちが良くなっちゃう……」
二人は顔を見合わせると、答えが出たように頬を染めて頷き合う。
それから萌音の方に向き直り、
「是非セミオーダーでお願いします!」
と声を揃えて言ったのだった。
萌音が目を見開いて翔のほうを向くと、彼もまた嬉しそうな顔で萌音を見ていた。
「私で良いんですか……? あの……こちらこそよろしくお願いします!」
こんなふうに仕事をいただけたのは初めてだったので、喜びもひとしおだった。