Macaron Marriage
萌音は扉に寄りかかり、天を仰いだ。自分の正直な気持ちって? ここのところずっとモヤモヤしていることは一体何? その答えがようやく見えてきた気がする。
その時に二人がドレスについての話を始めたので、萌音は深呼吸をしてからドアを開けた。
「お待たせしました!」
すると二人は笑顔で萌音の方に視線を移す。
「きっと当日のブーケはもっと素敵だと思いますが、一応こちらの造花のブーケを持っていただいて、お写真を撮ってみるのはいかがでしょう?」
「いいんですか? 是非お願いします!」
瑞穂が靴を履いたのを確認して、ラグマットを取り外す。そして白い壁をバックに二人を立たせると、萌音は自分のカメラと恵介のスマホで写真を撮った。
幸せそうな二人の姿に、つい笑みが溢れる。彼女の選択が間違っていなかったことが、画面の中の写真からもしっかりと伝わってくる。
「松島さん、本当に幸せそう……」
「うふふ、とても幸せですよ」
瑞穂と恵介が見つめ合い、額を寄せ合う。その様子に萌音は胸が熱くなる。
そうよ、私ってば何をイジイジしてたのかしら。本当は翔さんとやりたいこと、彼にして欲しいことがたくさんあるの。せっかく翔さんと付き合えたんだし、後悔だけはしたくない。
萌音は顔を上げると、拳を握りしめて大きく頷いた。